「Holographic Universe」について
スウェーデンのメロディックデスメタルバンド・Scar Symmetryの3rdアルバム(2008年)。前作「Pitch Black Progress」の良さはそのままに、前作では引っ込み気味だった浮遊感のあるサウンドを前面に押し出している。その圧倒的な完成度によりメロデスを新たな境地へと導いた名盤。
収録曲
曲名 | イチオシ |
---|---|
Morphogenesis | |
Timewave Zero | ○ |
Quantumleaper | ○ |
Artificial Sun Projector | |
The Missing Coordinates | ○ |
Ghost Prototype I – Measurement of Thought | ○ |
Fear Catalyst | |
Trapezoid | ○ |
Prism and Gate | |
Holographic Universe | ○ |
The Three-Dimensional Shadow | |
Ghost Prototype II – Deux Ex Machina | ○ |
おすすめポイント
本作は神ヴォーカル・クリスチャンの極悪グロウル/爽やかクリーンヴォイスの極端なコントラストと、ハイクオリティなサウンドが見事に融合したまさに奇跡的なアルバムです。今回は攻撃的でありながらも浮遊感のあるキャッチーなサウンドが前面に押し出された作りになっており、Vo.の圧倒的な歌唱力も相まって唯一無二のメロデスに仕上がっています。攻撃性やヘヴィさこそ前作に比べると幾分マイルドになってはいますが、その分キャッチーで耳に残るサウンドが多くて魅力的ですし、聴き疲れしにくいというメリットもあります。
アルバム構成は正直名曲ぞろいでオススメする曲に迷ってしまいますが、
- キャッチーなサウンドと凶悪なグロウルで疾走する「Quantumleaper」
- 爽やかなクリーンヴォイスが冴え渡る「Ghost Prototype I – Measurement of Thought」
- 長めだが最後までダレずに聴ける「Ghost Prototype II – Deux Ex Machina」
の3曲は特におすすめです。
唯一残念な点を挙げるとすればクリスチャンがこのアルバム限りで脱退してしまうことですが、これだけ素晴らしい作品を作り上げたうえでの脱退はまさに有終の美といえるでしょう。ちなみに彼はその後他のバンド(Solution.45等)で活躍することになるので気に入った方はチェックしてみるといいかもしれません。
まとめると、本作は過去2つのアルバムからさらに進化して独自性とクオリティを極限まで高めた傑作アルバムだと言えます。Scar Symmetryの最初の一枚としてはもちろん、普通のメロデスには食傷気味だという方にも幅広くお勧めできる名盤です。